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副学長就任のご挨拶
愛知東邦大学副学長 鵜飼裕之
本年四月に、学校法人東邦学園理事、愛知東邦大学経営学部教授・副学長に就任いたしました。名古屋で生まれ、地元の小、中、高校を卒業後、1973年に名古屋工業大学計測工学科に入学、1980年から母校にて制御工学、電力システム工学などの分野で教員、研究者人生を送ってきました。三月までの6年間は学長として大学経営にも携わってまいりました。これまでに得た経験と知見を活かし、微力ながら愛知東邦大学が「真に良き大学」となるために力を尽くす所存です。東邦学園短大、愛知東邦大学の卒業生ならびに関係の皆さまにおかれましては、宜しくお願いを申し上げます。

さて、愛知東邦大学の母体である東邦学園は、下出民義先生が東邦商業学校を創立してから2023年で100周年を迎えます。ご存じのように、下出民義先生は、明治から昭和初期にかけて中部圏をはじめわが国の産業界において活躍された実業家にして政治家、教育者です。先生が名古屋熱田の地に「愛知石炭商会」を開業され、起業家としてスタートを切られた1889年は、中部圏初の電気事業者である名古屋電灯が開業した年でもあります。先生は、後に電力王と呼ばれた福澤桃介とともに名古屋電灯の経営に参画、副社長を務めておられますが、先生が活躍された時代は、まさに石炭と水力を一次エネルギー源とする電気と大量生産の時代を迎えた第二次産業革命と呼ばれる一大転換期でした。そして、先生が木曽川水系の電源開発や電力の合金製造への活用に力を注いでおられたちょうどその時期、世界はスペインインフルエンザのパンデミックに見舞われ、わが国でも1918年から20年にかけて2380万人が感染、約39万人が犠牲となるなど猛威を振るっていました。それから100年後の現在、世界はICTの急速な進展によってデジタル化、グローバル化、ソーシャル化が加速し、私たちの生活様式は大きく変わろうとしています。自動車産業において100年に一度の大変革期と言われるように、産業社会は第四次産業革命と言われる一大転換点を迎えています。そして同時に再び、私たちは、新型コロナウイルスのパンデミックのただ中にいます。
社会が大きく変わる時代の変節点、困難な時期において強く求められるのは、次世代を切り拓く「人づくり」です。100年前、下出民義先生が「現代社会の求むる着実なる実業青年を養成し以て社会的報恩の一端に資する希望の下に創立」するという強い意思でめざされたビジョンを受け継ぐのが愛知東邦大学の使命であると考えています。小粒ながらもきらりと光る個性を如何なく発揮し、人材育成と学術で地域社会の活力を生む「創発」大学として新たな時代を切り拓く愛知東邦大学に、今後とも引き続き、皆さまのご理解、ご支援をお願いして挨拶とさせていただきます。